移動中毒日誌

旅行に行きたい人の旅行に行けないブログ

クリストファー・ノーラン監督作品「TENET」を観たので雑感とかもろもろ

先日たまたま池袋に行く用事があり、グランドシネマサンシャインIMAXレーザー/GTテクノロジーの回が取れたので見てきたの巻。

「TENET」映画本編も凄まじかったのだが、IMAXGTでの視聴が初めてということもあったので、それも含めて書き留めておこうと思う。

 

■SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS

「TENET」のストーリー自体は単純である。明確な悪役がいて、そいつがなんか悪いことをするのを止める、というシンプルな目的のもと、主人公は動く。最低限、その前提を把握しておけばお話自体は楽しめる。

 

が、それより少し深堀りして、なんか不自然な弾痕を見つけてしまったとか伏線のようなものを見つけてそれを回収しようとしたりとか、、今自分が見ている世界が時間が進んでいるのか戻っているのかとか、そもそもアルゴリズムってなんだよとか、そういったところに気が行ってしまった時点で二週目確定である。と言っても最後まで解決しない謎も多いのだが。

 

印象としては、前半は理解不能な現象が山ほど起きて、時間逆行という仕組みを知り、それが解明されていく……という流れは、「カメラを止めるな!」と似たようなエクスタシーをもたらしているのではないかと感じた。

もっとも、こちらは謎が多すぎて、時間逆行装置が出てくるシーンまでは何をネタバレしてもネタバレにならなそうな感じもあるが。

 

 

IMAXレーザー/GTテクノロジーとは

細かい説明は他のクソキュレーションサイト等が山程まとめているので省くが、一言で言えばめちゃくちゃでかい画面のことである。

 

高さ18m以上、ビル6階分に相当する巨大スクリーンに4K映像を写すわけで、ある程度の高さの席であれば、足元より下まで画面が広がっているという状況になる。

その没入感は凄まじく、最近Oculus Questを購入してVRを楽しんで没入感~~とか喜んでいたが、全く別種の没入というか突入が待っていた。

 VRであれば、ゴーグルを装着して、視界を動かして動作と視覚の連動で没入感を得るのだが、こちらはそんなことをする必要はない。

圧倒的な映像と音声(12.2chらしい)で視覚と聴覚を支配し、強制的に映画の世界に放り込まれるといった感覚がした。

これは実際に見ないとわからないのだが、とにかくすごい(語彙力)のだ。

 

しかし、映像と音声が緻密に調整されているがゆえに、そのダイナミクスを十分に享受できるのは、シアター中央付近の限られた数の座席だけのようである。

そもそも池袋のIMAX/GTは倍率が高いので、中央付近の席は発売開始とともに埋まってしまうようで、わしみたいなたまたま池袋に来た人間が買えるわけもなく、前後中央i列の若干左寄りの席を購入した。

上下こそぴったりだったものの、スクリーンがあまりに大きいためにサイドが湾曲しており、少しでもセンターをずれると湾曲が気になってしまうのは致し方ないか。

 

それと、気になった点として、前編がGTサイズというわけではなく、通常のIMAXサイズのカットとTGサイズのカットが混在しているため、頻繁にカットが切り替わるシーンでは画面サイズも同時に変動し、気になる人は気になるかもしれない。

また、同様の理由で日本語字幕は通常のIMAXのセンター下部分に固定配置であり、TGサイズのカットでは画面の中央付近に配置される形になる。

見やすいといえば見やすいのだが、GTカットはド派手なアクションシーンが多いため、じゃまだと感じるときもしばしばあった。

 

あと、IMAXサイズ用のトリミングが発生するので当然といえば当然だが、GTサイズへの拡張された領域に重要な要素が描写されることはほぼない。

臨場感よりも、純粋にストーリーを楽しみたい場合はむしろ通常のIMAXのほうがあってるかも、と思ったり。

 

2回目はTOHO新宿のIMAXレーザーで観ようかと思案中。

 

 

【以下、ネタバレ含む雑感】

 

 

・前情報として「ノーラン監督自身が本編中にカメオ出演している」という真偽不明の書き込みを見たことがあり、結構本腰を入れて探すつもりでいたのだが、

冒頭の冒頭、それこそ開幕1分も立たずにそれっぽい人を見つけてしまった。

具体的には、オーケストラのチューニング中に、上手の最前列でチェロかコントラバス(曖昧)を持っている男性なのだが、あまりにいい笑顔だったので一発で監督だ、と革新した。

…のだが、Twitterを見る限り同じことをつぶやいている人が全く見つからず、本当に監督だったのか、ちょっと自身をなくしている今日このごろ。

(ただのモブがあんなカメラ目線でニッコリしないと思うのだが……)

 

・全編通して一番ショッキングだったのは、冒頭のオペラハウス襲撃のシーンで、チェロを踏み潰したり楽器を破壊したりするシーンだったのではないかと思う。

人が撃たれたり、車が突っ込んだり、ビルが爆破されたりといったシーンはありふれているので慣れてしまったのかもしれないが、楽器と暴力を結びつけるというのはなかなか新鮮で、余計に心に残ったのかもしれない。

事実、Twitterを見ててもそのシーンにショックを受けた人が多いようで、これでノーラン監督が嫌いになったという人もいるようである。むしろここまで人の心を動かせたのであれば演出としては大成功なのかもしれないが。

 

・ノーラン監督はやっぱり乗り物好きなのではないかと強く感じた。

とにかく何かに乗って移動しているシーンが多い上に、そのバリエーションも豊富。

しかも、序盤の拷問シーンはなぜか貨物列車のヤードらしきところで、周囲に列車を走らせながら撮影している。あんなところで拷問やるかフツー。

しかも、ただシチュエーションとして使うだけでなく、列車の台車と床下機器の隙間から拷問の様子をチラチラ見せるなど、演出としても活用しているのが流石である。

 

・上記に付随して、登場する車の種類も多種多様である。というか出演者以上に出演車のほうが多国籍な感じもした。

自分が確認できただけでも、アウディフォルクスワーゲンメルセデス・ベンツジャガー、ランドローバー、ミニ、アルファロメオ、起亜、トヨタなんかに加えて、カーチェイスのクライマックスに見覚えのある六連星が出えた…と思ったらスバル・WRXが堂々登場したり。

欧州の道路事情に明るくないので、もしかしたらあちらは常日頃から道路が多国籍なのかもしれないが、車の配置一つにもこだわりがあるように感じてしまうのは考えすぎだろうか。

 

・空港の倉庫にダイナミック入店した飛行機は、劇中で貨物機という説明がされており、ネットでもB747-200Fという貨物専用機だという指摘があったが、わしが見る限り客室窓がわりとはっきりと見えていたので、実際には旅客用機の内装を改造して貨物機風に仕立てたんではないかと思った。あまり飛行機には詳しくないので、いろいろ指摘してくれる人募集中。

 

心拍計を確認していちいちコメントするセイターが、Fitbit購入直後のわしに似ていてちょっと恥ずかしかった。

 

・それにしても、セイターの動機づけが「ガンになった!人類道連れで死んでやる!」というのは、少し薄っぺらいのではないかとも感じてしまった。まあストーリー上そこは重要なところではないというのはわかるが、ジョーカーというキャラを作り上げた監督なのだから、もう少しそのあたりも深堀りできてもいいような感じもした。

 

 

 

 

 

以上。

とりあえず2回目は、空いている映画館で中央席で見たいと思った。

映画館も厳しい状況が続いているというが、その中でも魅力的な作品が多数公開されていることもあるので、積極的に足を運びたい。

合法的に両隣空いた状態で映画見るなんて、今後できるかわからないし。